駒を並べてさあ始め

※頭が飛んでます。
※何故かメタ視点。
※もはや静臨でも何でもない。
※臨也君しかまともに出ない。
※単なるうみねこ厨だろJK

以上が了解出来る方へ。










 一面がモノクロに染め上げられた、がらんどうの喫茶室。その中央には一つのテーブルセットが置かれており、そこに1人の青年が座っていた。青年は真っ黒なコートに身を包み、テーブルに置かれたチェス盤を眺めて何やら楽しそうに笑っている。
「さあて、次はこうしてみるとどうなるかな。」
 青年の長い指がチェスの駒の一つを取って盤上を動かした。――しかし、よく見るとそれは普通の駒ではない。色合いは紛れもなくチェスの駒だったが、造形は何故かそれぞれが別の人間を象っている。大小様々な人間型の駒達が、青年の手によって自在に盤上を動いていた。青年の持ち駒は、黒色。対する白い駒達は、動かす手がないにも関わらず独りでに動いて青年の相手をしていた。
「ほんと、人間って素敵だよねえ。」
 自らの手に対する白色の駒の動きに、青年の言葉のテンションが上がる。盤上を凝視し、駒の動きを一ミリたりと見逃すまいとする姿は、まさしく狂気を感じさせた。
 青年のターン。持ち上げた駒は青年自身によく似ている。そして不思議なことに、その駒は白色の陣には存在しなかった。殆どの駒は白色と黒色のどちらにも存在するのに、青年の駒だけが白色に存在しない。そして、もう一つ――。
 青年の駒が置かれた場所に移動して来た白色の駒を見て、青年が初めて嫌悪にその端正な顔を彩らせた。
「――シズちゃん。」
 シズちゃんと呼ばれたその白色の駒。青年の駒とは対照的に、その駒は白色にのみ存在しているようだった。
「ああ、本当に苛々するよ、君みたいな例外ってさあ…」
 青年の言葉はまるで、盤上の駒と会話しているように感じられた。
 このチェス盤は、池袋という世界の縮図だ。青年は時にそこに並んだ黒色の駒を操り、時に白色の駒からの思わぬカウンターを受けながら、それでもそんな二面性を持つ彼らを愛していた。人間という生き物を愛していた。
 しかし、自ら動かせないにもかかわらず、自らの予測不能な行動を取るたった一つの駒が彼は唯一嫌いだった。たった1人の人間を唯一嫌悪していた。
 その駒は、時折青年の駒を通して青年自身を見透かす。
「理解してるわけじゃないだろうにね。」
 青年は、自らの駒を新宿へと退避させながら呟く。
「いつか必ずこの盤上から消してやる。」
 呟きながら青年は、次の局面を想定し始める。さあ次の火種はどれにしよう?どの駒を黒く染めてやろう?いや、それでもきっと人間は抗ってくれる。
 白い駒の動きに想いを馳せて、青年は笑う。
 青年の名はイザヤ。それは奇しくも、遥か昔の預言者の名前だった。




臨也君はベアトに似てると思うわけなんですよね。どの目が出てもオッケーなところが。それでなんかこうなった。
戦人はシズちゃんなんだろうけど、むしろシズちゃんは戯言の潤姉な気がする件。