五月蝿い羽音を響かせろ


やっぱり気休めのワンクッション。
「五月蝿い羽音を黙らせろ」とは対の作品。
でも別に関係があるわけじゃない。
思いっきりえろです。
でも萌えません。
会話があんまりない。
後半にいくほど雰囲気小説。
以上宜しければ。










 何の生産性もない行為だ。
 臨也は考える。子供を産む為の生殖行為でもない。ことが終わった後の処理は骨が折れるし、一時の快感と終わってからの虚脱感は決して等価ではないだろう。となればこの行為はプラスよりもむしろマイナスの面が大きい。
「なのに俺ももの好、き、ぁあっ」
「舌噛むぞノミ蟲」
「ふっ…あ、煩い…っん」
 体の中で異物が動き回る感覚に臨也は思わず出したくもない声が出てしまう。男の自分に色気も何もあったものではなく、毎度のことながら吐き気がするなと冷静に思った。
 そんな自分を抱く、この背後の男にしたってどうかしている。今やその男の長い指は三本とも臨也の中に埋まり、バラバラと動いて臨也に快感を与えていた。男らしい無骨な指が無遠慮に奥へ奥へと進んでくる。秘部を暴かれるなど実に屈辱的なのだが、それ故の背徳的な快感が背筋を駆け上る。ぐうう、と一番長い指が押し込まれて、奥を、突いた。
「ぁ、あああっ、ん」
「そこか。」
「いい加減覚えた、ああっ」
「手前こそいい加減耐えたらどうだ?」
 不意に沈んでいない方の手が前へ回り、臨也のものに触れた。先に指に突かれた際に零れた先走りが絡め取られる。
「や、んう。」
 声を上げようとした臨也の口が急に塞がれた。ツンとくる刺激臭。臨也の先走りを絡めた指が口に突き込まれたのだと分かったのは、独特の苦味が口内に広がった後だった。
 腕は頭の上を越えて回っていて、自然と上向かされる形になる。すると同時に今まで見えていなかった相手の顔が視界に映った。相変わらず、自分と合わせる顔は不機嫌な表情をしている。情事中にこの顔を見るのは愉快だ。顔は何よりも心を語る。それを読み取り、刺激するのはこの生産性のない行為の唯一の楽しみと言えた。
 折原臨也は平和島静雄が嫌いだ。だからいつだってその顔を歪ませたくて堪らない。
「あい、おえおあおいああっあ?」
 何、俺の顔見たかった?
 口内を占拠する指によって発音などまるでままならなかったが、内容は正確に伝わったようだ。額に浮かぶ青筋。臨也は心の中でにんまりと笑う。この気持ちを味わう為だけに臨也はこの生産性の全くない行為に身を窶すのだ。相手が何故自分を抱くのかは知らない。興味もないことだった。代替品だろうが憂さ晴らしだろうが、愛がないことだけ確かなら何も変わらない。
「ん…………っ」
 臨也が僅かに目を眇めてふるりと震える。ぐち、と擬音語にすると何とも味気ない水音が下肢から響き、体内の異物感を消し去った。指が引き抜かれたのだろう、ならば次の行程は愚問だ。臨也は半ば無意識に身体を強ばらせた。何度経験してもこればかりは慣れない。身体に杭打たれるような衝撃も、割り開かれる痛みにも。臨也は決してマゾヒストではないから、慣れろというのも無理な話だ。むしろ肉体に与えられる苦痛は出来る限り回避したいのだから。
 向こうだってそんなことは当然分かっているのだろう。それでも遠慮も躊躇も予告すらもないのだから、自分達の関係がよく分かる。歪なものだ。自分達にはどこまで行っても嫌悪の選択肢しかない。
「ん、ぁ」
 後孔にひたりと太いものが当たる感覚がした。それはやっぱり躊躇することなくずぶりと臨也の中に入り込み、徐々に埋め込まれていく。
 予告なんてそんな優しいものはない。情事中の相手は言葉少なで、部屋の中には卑猥な水音と甲高い喘ぎ声だけが響いた。
「はっ…あ、あ」
  仰け反った背がしなる。快感と苦痛、更には指で口を塞がれた息苦しさも手伝って思考能力を低下させる。視界に入った情報が上手く脳内で映像を作り上げてくれない。目を凝らして相手の顔を伺おうとする間にも、体内のものはずくりずくりと進んでくる。
「う、あ…ひ、ぁあああっ」
 一際高い声が迸った。ぱたた、と自分のものから白濁が落ちる音がした。澱んだ欲を解放した反動で一瞬視界がクリアになり、サングラスの奥の目が笑ったのを捉える。しかし次の瞬間には、出し抜けに口から引き抜かれた手によって視界が闇に閉ざされた。状況を認識する前に唇を奪われる。
「ぅん、ふっ」
 口の中を蹂躙される間にも下半身は休むことなく犯される。閉ざされた視界は真っ暗な筈なのに、痺れた神経がチカチカと火花を散らせた。
 白色の世界に、投げ出される。
 息が上がり、意識を手放しかけたちょうどその頃、唇が外気に触れた。中を暴れまわっていた舌が逃げていく。脳を通さない未練がそれを追うように自らの舌をもたげさせた時。
「出すぞ。」
 耳元でそれだけ囁かれて、最奥を深く強く激しく、貫かれた。
「ぁあああああぁあっ」
「くっ……う、はっ」
 生暖かい液体が中で弾ける感覚。自らの欲望が溢れ出す感覚。白色の世界で2つの感覚がない交ぜになって臨也の神経を灼き切った。

 生産性のない行為だ。
 闇の中にうっすらと目を開けて、臨也は再び考える。
 今はまだ身体の芯に僅かに残る高揚感も、朝には虚脱感にとって代わる。下半身に残る気持ち悪さは処理の苦労を感じさせる。マイナスの方が大きい。
 臨也の脳裏に天敵の笑みが過った。追い出すように軽く首を振り、だるい身体を捻って隣に横たわっている筈の人間に背を向ける。
 ――嘘だ。考えるな。
 心の中で繰り返し自分に言い聞かせる。
 ――縋っているだなんて、悪い冗談だろ。
 再び目を閉じると生温い闇がのし掛かる。臨也はそのまま、どろりとした眠気に身を任せた。





茶会ログ+α。無駄に長い。
静←臨に見せかけて静→←臨です。
サディストに見せかけて甘いシズちゃんと遊び人に見せかけて必死な臨也君。
見せかけだらけ。
しかし私のえろは萌えないな。
冗長なんだろうか。誰か私に行為の展開の書き方レクチャー頼む。
前戯って何それ。美味しいの?