フロム・ランガージュ・トゥ・パトス5

静臨中心ですがオールキャラ
サヴァン設定と言いつつ解釈が相変わらず歪んでる
プラスαしただけで基本設定は原作通り
三巻直後くらい?
臨也君の世界が常人と違えばいいなって思っただけ
ただ櫻井が天才萌えなだけだぜ?
エピローグ&ネクストプロローグ気取り
以上オッケーな方









「――ってわけで、実は赤目の白兎も劣性遺伝の一種なんだよ。」
 そう言って話を締めくくる。窓の外を見ると、さっきまでの眩い赤はもうすっかり闇色へと姿を変えていた。
 臨也の赤目の話をした後、結局メンデルから優生学の話までしてしまったのである。まあ、セルティの要求であったので全く不満はないのだが。
『しかし、そうすると』
 カタカタとキーを打つ音に我に返ってパソコン画面を注視する。普通の会話と殆ど変わらないスピードで文字が打ち出されていくのが目に入った。
『あいつのあの性格は頭が良いからってことなのか?』
 現れた文章に少し考える。頭の中の幾つかの知識を呼び起こしながら、新羅はゆっくりと口を開いた。
「つまり、臨也の奴ってさ――」


同時刻 池袋 60階通り

 同じ街の中で友人にネタにされているとは知らず、折原臨也は東急ハンズの屋上から池袋の街を見遙かしていた。
 闇に染まった街の中で尚輝きを増すネオンサイン。そのネオンサインを頼りに蠢く数多の人間達。彼らはきっと今の日常が永遠に続くと思っているのだろう。盲目的に、無根拠に。
 臨也は今日の今までを思い起こす。池袋という街はやはり、楽しかった。それぞれに自分に関わって来る人間達。その中のたった1人を除いて皆臨也は愛していたから、楽しくて仕方なかったのだ。
 しかし、まだ足りない。まだまだ足りない。人間を愛し足りない。人間を知り足りない。
 ――だからまだもう少し、臨也にとって池袋の1日は終わらない。
 臨也は街を見下ろし、舞台挨拶でもするかのように両手を広げた。
「さあ――」


同時刻 池袋 川越街道沿い 某マンション

「つまり臨也の奴ってさ、天才であるが故に色々欠陥してるんだよ。」
『欠陥?』
 新羅の言葉にセルティは内心でない首を傾げた。
 確かに、今話題になっている臨也という男はまともではない人間だ。性格は破綻しているし言動も行動もおかしい。しかし、それは何かの欠陥なのか?それともセルティが人間でないから分からないだけなのか――。
 そんなセルティの心中を察したらしく、新羅が微かに笑って言った。
「確かに人間ではないセルティには分かりにくいかも知れないね。そうだな、例えば…感情。」
 感情。
 突然現れた、それも人間的な言葉にセルティはますます混乱してキーボードを叩く。
『感情?感情ってどういうことだ。欠陥するものなのか?』
「普通はしない。欠けているのは臨也だからだ。あいつには、」


同時刻 池袋 60階通り

「さあ、まだまだ終わらせないよ、人間!」
 臨也は笑っていた。その声はかなりの音量を有していたが、眼下の人間に届くには至るまい。
「俺は君達を愛してる!だからこそ君達のことをもっと深く知りたい!強制的に見せて貰うよ。もっともっともっと深く君達の姿を!あはははははっ!」
 どこまでも人間らしく、人間を突き抜けた声が響き渡る。臨也の声は実に楽しげで、そこにはプラスの感情しか存在していなかった。 
「俺を嫌うもよし、憎むもよし、厭うもよし――それでも俺は君達が大好きだ!」


「あいつには、悲しいという感情が存在しない。」


「ようこそ、俺の舞台へ。」
 臨也が、演出家が観客にそうするように眼下に対して深く御辞儀をして――

 ――幕が、開いた。





八巻発売おめでとうメモリアル投下!私はフラゲして読了済みだけど!
これにて第一部終了。第二部から事件が起きて静臨的ジェットコースター展開…になるといいな。
今回は臨也君と新セルが完全に平行して動いているため交互に演出したのですが、読みにくくなってないかなあ。
そして臨也君の青色サヴァン化が激しい。でも歩く逆鱗ってむしろシズちゃんですね(笑)